INTERVIEW インタビューINTERVIEWインタビュー

柔軟で多様性に富んだ
ダンサーであれ

LEONA LEO MORIMUNE

Class: JAZZ CONTEMPORARY

Tovaris  Wilson

一番最初にLeona先生が踊り始めたときのことを教えてください。

一番最初にLeona先生が踊り始めたときのことを教えてください。

僕はサンフランシスコで育ったのですが、スポーツが元々好きな子供でした。8歳のとき、学校の体育の授業にバレエが組み込まれている時間があって、そこにサンフランシスコバレエスクールのスカウトの人がきて、僕に奨学金をくれるって言ってくれたんです。奨学金って言葉の意味は分からなかったのですが、これはマナーとして受けないといけないと思って、通うことにしました。まさかその後タイツを履いて、指先を伸ばさないといけなくなるとは全然思ってなかったんですけど(笑)。でもそのチャンスをもらえたことが有り難くトレーニングに励みました。

ただ高校生になると、学校とバレエのクラスが重なり始めてしまって、結局高校を卒業するかバレエを取るかを選ばなくてはいけなかったのは、本当に辛かったです。僕は高校を卒業することを選びました。

バレエを失ったことが悲しすぎて、そこで他のスタイルを探さないとと思って、ジャズ、ジャズファンク、ヒップホップなどハリウッドで使えるようなスタイルを練習し始めました。ダンスに関連することだったら何でもしようと思いました。

僕はエージェント(事務所)に所属したことがなく、いつも個人のダンサーとして僕自身が色々な人と知り合って、そこから仕事をもらえるようになりました。自分が働きたい人とやりたい仕事を選べるというのは、特別なことだったのではないかと思います。

色々なスタイルを学ぶうちに、オーガニック(自然)な形で動く(ムーブ)というのが好きになり、独自のコンテンポラリーダンスというスタイルに発展していきました。まだコンテが目新しいものと言われていた時だったので、僕のように色々なジャンルを融合したスタイルが目をひくことができたんだと思います。

ダンサーとして生きていくためには何が大事だと思いますか。

僕の先輩たちは一つのジャンルを極めるということが主流だったのですが、時と共に仕事をもらい続け、ダンサーとして生きていくためにはそれだけではダメなことに気がつきました。Versatile(柔軟性のある)なダンサーでないとダメなことに気づきました。スキルの数が多ければ多いほど、仕事に繋がりますよね。一つのジャンルを踊れるだけではもう足りないんです。

今は正直、長く踊れる人、長く踊っていたいと思う人が少なくなっているのを残念ながら感じています。ダンサーでいることって大変ですよね?だからこそ、ダンスを自分はなぜしてるのか、って自問自答しながら、タンクをリフィルしながらいかないといけない。僕は本を読んだり、映像を編集したり、頭をいっぱい使う作業をしていると、結局踊りたくなる。そうやって自分の心をダンスといつも紐づけています。

振付師としてのLeona先生のスタイルについて教えてください。

振付師としてのLeona先生のスタイルについて教えてください。

僕はダンスで何かを言おうとしているわけではなく、どちらかというと「音を、踊りというツールを通して通訳している」という感覚です。バレエは型を使った言葉がありますよね。僕はむしろ音から想像する形・シェイプを、動きで表現しようと思っているだけなんです。

だから僕の踊りでは、ずっとアクセントが強いという動きはしないんです。激しい動きがあっても音楽は綺麗かもしれない、ここは滑らかだけど、次はアクセントとか。声を届けたいというより、音を表現したいんです。

僕にバレエの経験があるためか、これまでテクニカルダンサーと踊ることが多かったのですが、どう違う見せ方をできるのかのガイダンスを与えることができるのが僕の特長だと思います。今はそれに加えて、たとえばヒップホップダンサーとかバレエの訓練をしてきていないダンサーに対して、ラインをクリーンに見せられるような振付をすることで違う動きを見せられるように指導しています。

「Movement doctor(動きのお医者さん)」みたいな感じかもしれませんね。クラスの終わりで、違う動き方ができるようになっているのではないかと思います。

Leona先生は、振付を渡すときは1,2,3,4,5,6,7,8とカウントしながら渡すのに、踊り始めると、生徒たちに「AND!!」「Eight!!」「and FIVE!!」などと言ってアクセントがあるところだけ強調して指示を出しますよね。それがユニークだなと思いました。

そう、審査員などをするときに世の中に出てくる振付が正直ずっと同じテンポで進むものが多いことを感じます。でも観客に最後まで興味を持ってもらって自分の踊りを観てもらうためには、溜めがあったり、ドカンって爆発する部分があったり、また静けさがあったり、と抑揚がないといけません。

ダンサーは最初の数秒間で観客にすごい踊りができることを伝えなきゃいけないと思いがちですが、パフォーマーとしての真のあるべきマインドは、観客がずっと集中して自分のダンスを見てくれることです。やるだけではなく、どんなペースでどんなアプローチでやるか、が大事なんですよ。

最後にBDCのダンサーたちに一言お願いします。

最後にBDCのダンサーたちに一言お願いします。

BDCは僕の教えの理念と原点に立ち返ることができる場所です。私が作ったものを自分が好きなように信じることを教えられる環境なんです。BDCではそれを許してくれる。新しいスタイルをトライしてみたければ、それも許してくれる。だからこそ、限られたレッスンという時間の中で、僕が本当に伝えたいと思っていることを伝えることができています。

「ダンスティーチングの海」みたいな感じです。制限がないから。僕が先生たちに教わったことを守りながら、自分の理念に乗っ取ったティーチングをすることができます。

BDCは、ダンスを学ぶ姿勢と心を大事にしていて、いつも僕を謙虚な気持ちにさせてくれます。世界で見ても、こんな素敵な空間がまだ残っていることが本当に稀で、奇跡的だと思います。それくらいの聖域です。このエネルギーが特別なんだということをみんなに分かってほしいです。

僕がBDCに来るようになって10年以上が経っていることに気付いたのですが、一番最初のクラスの時に感じたフレッシュさを今も感じています。今回の3年ぶりの来日で、僕がいなかった間にも、みんながトレーニングを頑張ってしていたのを見ることができて内心感動しています。

BDCでダンスを教えるのが本当に好きです。僕の声を聞き取ろうとしてくれるダンサーたちがいることが本当に嬉しく、これだけ年数を一緒に重ねてもう家族みたいで、ここまで一緒に成長してこられているのが本当に嬉しいんです。僕のニュアンスを吸収しようとしてくれるダンサーたちの気持ちがクラスで感じ取れるのに、心から感謝します。こうしてみんなと家族になれていることが本当に嬉しくて、心からありがとう!!と言いたいです。

LEONA LEO MORIMUNEClass: JAZZ CONTEMPORARY

サンフランシスコバレエの奨学生としてトレーニングを積んだのち、ロサンゼルスのエンタメの世界へ。Carlos Santana, Paula Abdul, 50 Cent, Bjorkなどのツアーダンサーや振付師として活躍。
現在はサンフランシスコを拠点に、ダンサー、振付師、講師として活動中。

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